山王祭(赤坂)でした

 6月10日(金)~12日(日)、祭囃子で参加してきました。

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 金曜日は神幸祭で、まさるさまの山車に乗って、坂下門から神社まで約5時間囃しました。師匠が鎌倉を吹くのを聞けて幸せ。なかなかこういう機会はないのです。

 京壱の方々や地元の小学生達が山車に乗り、私たちはそれをサポートする形です。特に子ども達が山車を曳いたりもするので怪我のない気をつけないといけません。

 私は体力のなさを痛感しました。途中足が釣って危うく離脱しそうになりました。足袋に雪駄で長時間歩くのはけっこう足に負担がかかります。それと歩きながら笛を吹くのは大変でした。阿波おどりで笛吹いていたんですが、神幸祭の進む速さは阿波おどりよりかなり速いです。息と足が保ちません。ちょっと体力つけないとダメですね。でも鉦を打ったりして勉強になりました。

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 土曜日は町会の神酒所の掛け屋台で町会の方々がお囃子するのをサポート。

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 日曜日は下町連合渡御で京橋から日本橋まで中央通りを通行止めにして山車や神輿が渡御します。今回、干支の山車に乗って子ども達を笛でサポートするという大役を拝命いたしました。一応ヘルプの笛が一人ついてくれましたが、その方は子供たちのサポートという大事なお役目があり、「ふくふくさん、なるべく笛一人で頑張ってね。水飲むときは交代するから」と(笑)。

 これは自分を試す良い機会と思い、気持ちは最後まで一人で吹ききろうと。で、結果はいかに?なんとか、最後までノンストップ休憩無しで吹けました!時間を見たら、役50分間投げ合いを吹いていました。これは自分的にはちょっと嬉しい出来事でした。子供たちのサポートなのでゆっくりめの投げ合いだったのも良かったのかもしれません。何しろ50分吹き続ける。この大変さは篠笛をなさっている方には理解していただけるのではないでしょうか。


三社祭でした

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直前に軽いぎっくり腰になり、体調面で危ぶまれた三社祭でした(^0^;) でも何とか宵宮から最終日までの三日間を江戸囃子を楽しんできました。体力的に年々ハードに感じるのは年のせいかな。

今年は社中のメンバーの数人がそれぞれの事情で参加できなかったりしたので、ちょっと寂しかったです。特に笛と大太鼓打てる人が少なかったのでやりくりが大変でした。

今年の大きな出来事と言えば、三社祭で鉦デビューでした。実際のお祭りで打つと、練習ではわかなかったこと、感じられなかったことがたくさんあって勉強になりました。それと、上の話にも関わりがありますが、自分が鉦を打てるようになったことで、メンバーのやりくりの際に少しは助けになったようでよかったです。

本番でわかる自分の課題点、今年は…。
・上げのピィッというのが不発が多かった。
・屋台吹き出しのチィーヒーイのヒーの音が弱い
・キの不発も多かった
・スタミナが少し落ちたかな

笛に関しては上記の通りなんですが、この一年ひとっ囃子をあまり練習していなかったのが影響しているのかな。個々の曲は練習していたんですが、通しで吹いて最後の方にピィッと吹くのはちょっと難しいんです。去年はそういうことあまり感じなかったので上手く出来ていたんだと思う。何気ないコツがあるんですがそれを無くしちゃったようです。

音を出すときに、吹く息のイメージがあると失敗しなくなります。ちょっと出しにくい音なんかのときに、息をこういう感じで吹く鳴る、みたいな感じのもの。これが今回上げと、吹き出しのときに無くなってたみたいです。これを書く前に、ちょっといくつか試行錯誤して、ああ、こういう感じ吹けば良かったんだというものが見つかりました。前もこうしていったんイメージをつかんだのに、いつの間にかイメージしなくてもできるようなったのに、ふとしことでフォームが変わったりして鳴らなくなる、イメージも思い出せない。今回はこういうことが自分に身の起きた感じでした。こういうことは本番を経験してわかるということも多いので良い経験にしたいです。

笛以外では
・大太鼓、テンポが超速くなるとドドストストストが追いつかない。これは要練習
・速さはそのときのメンバーで変わるんですが、大太鼓をその速さに合わせるのに少し時間がかかる。最初からビシッと合わせないと。
・上手い人の鉦は音楽になっている。これは凄いです。ホント。

とまあ、いろいろ課題点はありましたが、皆さんと楽しく出来てのが一番です。

↓土曜日、ひとっ囃子を笛で演奏しているのを知人に撮っていただきました。出だしの打ち込みと吹き出しの一部抜けてますが、こうしてひとっ囃子本番を撮ってもらったことがなかったので凄く嬉しいです。
注)動画では無く静止画です

馬込の阿波おどりを終えて思ったこと

 久しぶりに阿波日記でも。

 個人的には、今年の構成は嫌だなあ(笑)、いや、嫌ではないんだけど自分には荷が重い、正確に言うと今年だけじゃなく毎年そんな感じです(笑)。

 今年は特に手を速く回さないといけないんで、これは50代半ばの初老の男には辛い~。正直に言うとこの速さで音の粒を立てて弾くのはプロでないと無理なんではと思ったりもします。ある程度速さを抑えれば、ありがたいんですが、それだとこの構成自体が死んじゃうんでそうもいかないし。まあ、頑張るだけ頑張りましょうと。

 本番で都合4回弾いたかな。自分的にはどれもまともに最後まで弾けたのはありませんでした。うひゃー、これ動画とか撮られていたら嫌だなあ、と。どなたかが撮った動画を拝見して、自分が思っていたよりはひどくなかったんで少しホッとしてます。たぶん、練習を積めばもっと良くなる感触を得ることはできました。直前に長唄三味線のお浚い会もあったので練習不足はあったと思います。

 本番って気が乗ってテンポが速くなるってのは良くあるんですが、公園でやったときはすげー速くなって、もう手がばらけるかと思いました。この構成危険すぎ(笑)。それから公園の時ちょっと、あるパートがミスって、そのカバーリングもベストな方法じゃなかったんだけど、こればっかりは経験がものを言いますね。

 後で、本人と雑談したんですが、本人はミスったことに気がついていなかった。僕はそれを聞いて大笑いしたんですが、これは本人はもうすでに厳重な注意を受けていて少し落ち込んでいたんで笑って少しでも明るくしたかったから。

 ミスは無いにこしたことはないけど、大事なのはカバーしてあげること。見殺しは一番いけません。そしてこういうトラブルは後で笑い話にしてあげましょう。

 今回最後に合同で流し踊りがあって、全8連で流しました。三味線は6挺でした。やっぱり少ないよね。笛は結構いました。14人くらいいたんじゃないかな。三味線がいた連が三連。東京で高円寺以外だとまだまだ少ないです。

 高円寺協会、漏れ聞くところによると三味線に力を入れているようです。今まで三味線がいなかった連にもいるようになったりしてます。むろん一拍子系は除くです。一拍子系でも個人的には弾いている方はいらっしゃいますが(笑)。

 こういう面で協会主導というのは効果が大きいのかな。自分が協会の連にいたときにはそこまでなかったです。また、南越みたいに徳島振興協会の指導を受けているところも三味線多いですね。

 こうして連の中で三味線弾く人が増えていくと、いわゆる自給自足ができて、連の中で三味線を育てることが普通になってきます。ちょっと前の笛がそうだったと思います。後数年で高円寺はそうなっていくだろうと想像もしています。

 それ以外の地域連では個人ベースになっちゃってます。個人ベースで広げようとする活動もいくつか知っていますが、なんらかのもっと広がる動きがないと厳しいですね。

 あわともがもしかしたらその辺のベースになっていたので終わってしまったのはちょっと残念です。自分的にあわともあまり協力できなかったのは、申し訳ない気持ちもあったんですよね。

 とまあ、こんなことを感じた春阿波でした。

組踊り

長唄三味線のお浚い会で「外記猿」弾きました

本番の3日前の下浚いでアクシデントがありました。演奏途中に二の糸巻きがキュルっと緩んでしまいました。真っ青です。演奏止まるのかと一瞬期待しましたが、下浚いは本番とほぼ同じなので演奏は続いていきます。その瞬間考えたことは、

1.演奏をあきらめる
2.構えたまま糸を巻き直す
3.いったん置いて巻き直す

でした。1もちょっと考えたんですが、さすがそれはないだろうということで、3にしました。2はちょっと自分には無理だと判断しました。それにしても気が焦ると音が取れません。もうだいたいこの辺というところで演奏に復帰しましたが、音はズレズレでした。調子変えで本調子にしてようやく合わせられた感じ。

こういうトラブルは初めてだったので焦りましたが、本番前に良い経験ができました(^0^;)。

それ以外にも三の糸の伸ばしが不十分で途中隣の師匠の手が伸びて直されたりと、さんざんな出来の下浚いでした。みなから下浚いで良かったと応援いただきました。ほんと本番じゃなくて良かった。

この下浚いを踏まえて気をつけたこと。
・常に糸の状態を気をつける。
・演奏途中に調子を確認できる箇所を何カ所か設ける。
・調子変えは上げる場合は多めに上げて戻しながらきっちり糸巻きを押し込む

そしていよいよ本番当日。お客様もたくさんいらしてくださりました。私の関係のお客様も何名かご来場いただきました。ありがとうございました。

みっちり糸を伸ばして準備万端。出だしはバッチリと思ったら、いきなり手を間違えました。糸の調子は良好で伸びていないようです。まずは第一関門の二上がりへの調子変え、糸巻きを最後しっかり押し込みます。音程もまずまず。関門無事通過です。

本調子へ戻して、再び二上がりへ。ここはトン一発で変えないといけません。ここは上げが不十分でした。言い訳すると会場が暖かくて手に汗が…。ちょっと上げにくかったです。すぐ上げきれなかったのがわかったので、修正。ここでもグッと糸巻きを押し込みます。

最後の本調子への変えも無事終了。課題の調子変えはまずまずでした。一発で変えきれなかったところは反省点として、すぐ対応できたのは良かったところ。スカバチ何回か、勘所外れすぎがちょいちょいありましたが、全体的にはまずまずの演奏ができたように思います。かみさんからも良かったとのこと。

師匠、助演いただいた唄の先生、同門の皆様、お客様の皆様に感謝申し上げます。

終了後は楽しい打ち上げ。先生方や同門の皆様と楽しく語らい、大いに飲みました。楽しかった~!

長唄「外記猿」 2016-03-20 万世橋区民館 三味線で参加 *観客席から録音したものです

猿舞の笛は課題てんこ盛りでした

ん~、出だしのヒーヤーヒーの出来がひどかった。びゃうびゅうしてる感じ、天を切り裂く感じでは全然無かった。あと段切れで指を間違えるという失態でした。

思い当たる原因としては、迷いがあったこと。調子の良いときは、何を考えなくても自然に構えて吹けるのに、この日なんか構えが決まらない、笛を口に当てる位置が決まらない。こういうときえてして失敗するんだよな、というネガティブな考えも頭によぎって、まさにその通りになってしまいました。

調子の良いとき悪いときはあるんですが、この差を無くして平均レベルをグッと上げることを目標にしていた自分としてはガックリ落ち込みました。あと、竹笛の音程が今ひとつ。すぐビシッと三味線に合わせられていない。後半はまだしも出だしが特にひどい。

ただ、そのほかの狂言羯鼓、岩戸は気持ちよく吹けました。早渡りはちょっともたったかな。段切れ失敗したのは悪かったところを気にして精神的に引っ張ってしまったからだ思います。こういう精神的な波もなくしていかないと。最後のヒィーは唄が凄く引っ張ったので息切れ。その前に「ーィ」と終わるべきでした。

課題が沢山でましたが、これが上達の肥やしになると思っています。本番はやっぱり一番勉強になります。

長唄「猿舞」 2016-03-10 都内ホール 能管・篠笛で参加 *観客席から録音したものです

録音聞き比べ 江戸囃子 鎌倉・四丁目の笛

用事があったのでお稽古は笛のみ。今回が年内最後になります。今年は先月休んだけで、昨年3回休んだのに比べると優秀でした。

お稽古の最後に師匠から、頑張っているから段々良くなってきている、とのお言葉をいただき凄く嬉しかった!ホントに出来の悪い生徒なんで、師匠には苦労ばかりおかけしていますが、少しでも進歩していると思うとがんばりがいがあります。

鎌倉・四丁目を吹いた後、昇殿を吹いてみましょうかと言われました。昇殿はさらっと吹く曲で、時間も短いけど、ただサラッと吹いても面白くない。昇殿もきちんと吹いている人は少ないとのことです。大まかにはマルをいただきましたが、オヒャイト-ロ-トヒャオヒャイのトヒャオヒャイの節回しでアドバイスをいただきました。そう、師匠のここの音凄く好きだったんです。普通に出している音じゃないんですよね。

この音は次のフレーズでも遣っている音なんですが、ここが違うと曲がすごく良くなる感じがします。すぐにはできませんが宿題です。

さて、聞き比べシリーズです。鎌倉・四丁目の笛@お稽古の録音です。

2010年10月

2015年12月

自分なりに良くなっている点は、鎌倉に関しては節回し、3メを含む2~4の音程が良くなってきている。四丁目はメリハリ良くノリ良く吹けている。全体的には少し曲になってきているかな。そんな風に感じます。

川崎の邦楽祭に参加してきました

4年前から参加させていただいている、プロ・アマ混成長唄ユニットで長唄「京鹿子娘道成寺」の能管・篠笛を勉強させていただきました。

さて、4年前から上達しているのか?多少していると思うんですが、ここでちょっと検証してみます。次の音源は a.3年前の川崎での演奏、b.今回の本番演奏、c.師匠のある演奏会、それぞれで狂言羯鼓を吹いている部分だけをピックアップしたものです。

何となくですが、師匠の音に近づいている感じがしてると思いませんか。まだ師匠の音には程遠いですが…。

ただ、反省点はたくさんあって、急ノ舞の出だしのオヒャーは幼稚な音出しちゃいました。ここ出だしなんでもっと重い感じで吹かないといけないんですが、軽いオヒャーになっちゃってます。楽も雅さがゼロです。梅さんの竹笛は特に3の音がメってて、華やいだ感じが出てない。

と反省点はあったものの、練習から下浚い本番と楽しく勉強させていただきました。今回の娘道成寺は、素で演奏する場合いろんなパターンがあり、譜面だけではわからない部分がたくさんありました。急ノ舞一つにしても、三味線のお浚い会なんかでは入ることないし、毬唄のタテ三味線の入れ事なんかもいろんな手付けがあってそれによって寸法も大きく変わったりします。限られた演奏時間の中、唄・三味線・囃子でどこをどう入れるか?カットするか?で悶悶としたりして、そういうことも勉強になりました。

お浚い会とはまた違い、それぞれが自分の責任を果たさないといけないので、より緊張感を持って演奏に臨む、そのことが自分にはすごくいい経験になっています。今回助演いただいた、プロの先生にも、演奏する場合には、何があっても対応できるよう準備しておくことが大切と教わりました。私たち素人にはなかなか難しい部分ですが、そういうことも少し意識できればいいな、と今後の大きな課題もいただきました。

最後に今回の演奏です。

赤坂氷川神社祭礼

 宵宮と神幸祭(町会神輿)にお囃子で参加してきました。

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↑猩々の頭が少しだけ見えてます

宵宮は「猩々」の山車に乗せていただくという大変貴重な経験をさせていただきました。何しろ江戸時代には江戸城内に入っていたという由緒ある山車です。当初の予定は「翁二人立」の山車の予定でしたが、人形を昇降する装置の不具合があり、急遽変更になりました。昨年は舟形の山車「恵比寿」に乗せていただいたりと、貴重な経験の連続で恐縮するばかりです。

 ちなみに赤坂氷川神社は毎年山車の再建をしており、将来的には山車と神輿が練り歩く昔の江戸の祭を再現するという大きな目標に向けて活動されています。来年は宮神輿ができあがるそうで、今から楽しみです。

 今年は師匠も山車に乗り、笛や太鼓を間近で聞くことができ。それもまた得がたい経験でした。こういう本当の本番での師匠の笛、曲の選択、テンポやノリの違い、いろんな事を教えていただきました。特に山車に乗っているときの囃子がどういうものかを体験できたのは貴重な経験になりました。

 日曜日は町会の神輿について、町内渡御、山車と神輿の連合渡御、再び町内を渡御。投げ合いを中心としたお囃子でした。個人的には笛は去年よりはいいかな。最初力みすぎ。もっと力を抜いても吹けるのに妙に力が入りすぎます。この辺は経験の少なさもあります。居囃子だと相当長く吹けるようになったんですが、歩きながらだとまだダメですね。

 大太鼓を相当打ったので、課題のドドストストストがなんとなくつかめてきた感じ。やっぱり本番で打ち込むのが一番身につきます。そういえば締太鼓打たなかったかも。

「秋の色種」を弾いてきました

先日、わたしの長唄三味線のお浚い会があり「秋の色種」を弾いてきました。師匠、唄の先生、弟子仲間、ご来場いただいたみな様、ありがとうございました。何とか無事?終えることができました。

ひきだるまの会 2015
ひきだるまの会 2015

昨年のお浚い会が終わった後に、やりたい曲がある人は言ってください、と師匠がおっしゃったので、わたしは「梅の栄」「新曲浦島」「秋の色種」をあげ、師匠がじゃあ色種やりましょう、となりました。色種といえば、「虫の合方」「琴の合方」が有名な曲です。上調子が入ることが多く、これがまたキレイなんです。

ほぼ1年かけて稽古してきましたが、師匠が上調子を入れて稽古するようになってからは苦闘の連続でした。つられちゃうんですよね、上調子に。自分的には上調子が入ってきてからは、別な曲になった感じでした。

お浚い会は、二挺一枚。そうです。タテわたし、上調子師匠、お唄の先生です。これが意味するところは、自分が相当しっかり弾かないと曲にならない、ってことです。特に合方はほとんど掛け合いになるので、そこで自分がこけたら終わりです。今までの曲は基本師匠がユニゾンで弾いてくれ(ところどころ替え手)、自分がこけてもほとんど影響ないんですが、今度は違うわけです。このプレッシャーはだんだん効いてきました。

さて、当日の演奏がどうだったか?みなさんも気になるところだと思いますが、その前に当日朝のプチ失敗がひとつ。爪短くし過ぎました。爪に溝ができると削ったりしていたんですが、本番朝なのでいつにも増してヤスリかけたら短くなり、人差し指でハジクのがやりにくくなっちゃいました。今度から気をつけます(汗)。

「秋の色種」弾いてます
「秋の色種」弾いてます

舞台に上がり、幕が開きます。師匠の声でチンチンテンといくところ、トンチンテンと…。いやあ、まさか三の糸弾き損なって二の糸弾いちゃうとは。この瞬間自分は相当緊張しているのを自覚しました。もう、特に右手が硬い。あと、胴の位置を少し直したいんだけど、それができない。胴の位置なんか弾く前に念入りに確認するんですが、袴はいてるとズレやすいんですよね。それでも致命的に位置にズレることはなかったは良かったです。

本調子のところはまずまず。さあ、虫の合方です。ここでもミス。お唄が終わりきっていないのに、チンと入っちゃいました。もう、唄を聞く余裕なんてなかったってことです。途中、スカバチしたり、ハジキが甘かったりと、ありましたががまあまあの出来だったと思います。

調子変え、調子変えの決まり文句が少し乱れましたが、調子自体はまずまず上手く変えられました。そうそう、この日は早めに糸を張って十分に伸ばしていたので、変に音が下がることは無かったです。事前の糸のしごきは大事ですね。

さて琴の合方。ここでこの日最大のピンチが来ようとは…。前半の方で、棹の下の方を弾く部分で、手が止まりました。いつもはほとんどオートマチックに動くところなんですが、次どこに動かすか白くなっちゃいました。ただ、かろうじて頭の中でメロディは流れていたので、戻れるところを必死に探します。師匠も異変を感じ少しテンポを緩めてくださり、区切りになるところで軽くかけ声を入れてくださりました。そのおかげもあり、無事元に戻れましたが、あやうく演奏事故になるところでした。

秋の色種弾いてます
秋の色種弾いてます

失敗した瞬間は、緊張よりも動揺しました。スカバチとか勘所のズレとかのレベルではなかったので。もう必死に落ち着け落ち着けを自分に言い聞かせていました。これでボロボロになったらいかん。今までの練習を無駄にしちゃいけない。そんな風に考えていたように思います。

そんなんで琴の合方が終わり三下がりです。動揺もあって手に少し汗をかいていて少し滑りましたが、うまく変えられました。この辺り、当日糸をしごいた後シミレーションしていました。巻が変なところでガッシリはまると動かせないので。

三下がりの部分は自分的にもけっこう上手く弾けたかな。竿下の方の難しいところもばっちり勘所押さえられました。

始まればあっと言う間です。18分弱の曲ですがあっと言う間です。幕が閉まった後は、やっちまった感いっぱいでした。二挺のプレッシャーとはこういうことだったんですね。

こう書くと、よっぽど下手くそな演奏だったんだろうな、と思われますが、実は演奏自体はまずまず良かったんですよ。終わった後、みどケロさんや、お弟子さん方にも良かったですよ、と言われていたんですが、その時は失敗のことで頭がいっぱいで素直にそう聞くことができなかったんですね。

お浚い会が終わった後打ち上げがあり、お唄の先生にお礼と失敗してしまいましたとお話ししたら、「確かに上手くいかなかったところもあったかもしれけど、全体的に見ると下浚いのときより音とか凄く良かったですよ」と。……。その時はまだその意味が良くわからなかったんですが、後になって下浚いの音を聞き直してみて、わかりました。

音、音程、勘所、調子変えとかが本番ではけっこう上手くできていたんですね。だから聞いていても割と気持ちいい。あくまで対自分比ですから、念のため。下浚いは特に二上がり以降ひどくて三下がりになるとさらにひどい音でした。調子変えがうまくできていなかったんですね。手的にはあまり大きなミスが無かったのですが、本来はこういった音自体出来の悪さを自覚しないといけなかったですね。

自分は間違ったところに囚われすぎていて、良かったところをたくさん見逃していたようです。もともと難しい曲ですから、今の自分で完璧に弾くなんてことは無理なわけで、そう考えれば、まずまず弾けたと思えるようになりました。

練習で苦労した、虫の合方で棹の下の方から上っていくところの勘所、・ドンドンドンドンドンドン・トテテレテレテレテントンもまあまあできたし、琴の合方後半の凄く細かい手の部分で粒が立てられなかったところも本番が一番上手くできていたし、三下がりのメツメツメサケサラーなんかも本番が一番上手くできたし、調子変えも上手くできた。なんだいっぱいいいところあったじゃん。

お時間のある方は聞いてみてください。

長唄「秋の色種」 2015-03-21 神保町区民館 三味線で参加 *観客席から録音したものです

いろいろあったり、いろいろ考えたりしましたが、「秋の色種」とってもとっても楽しい曲でした。上調子が入ってから、難しくなりましたけど更に楽しくなりました。弾いていてこんな楽しいの初めてかもです。

あと思ったのは、三味線を弾く左手は大事な音のベース部分を担っていて、右手はテクニカル的なことを担っているのかな~、なんて感じました。左手は勘所、調子変えのときに重要な役割を果たしていて、右手はいろいろな奏法で華を添えるみたいな。

右手っていえば、下浚いである姉弟子さんに右手の感じが師匠に似てる、と言われました。みどケロさんにも言われました。これ実は目指しているところです。もちろん音は遠く及ばないなんですが、ちょっとうれしい。

そういえば笛では師匠の師匠に感じが似てるなんてのも最近言われました。これも嬉しい。

さあ、今度の曲何にしようかな。